悪役三白眼ロン毛が魅力的な理由

(2017.8.17 追記)もうちょっとまともなのを書きました。
悪役三白眼ロン毛の魅力2

「君の言う“可愛い”は、どういう意味なのかイマイチわからない」と何度か言われたことがあります。

そう言われてみれば、なるほど私の言う「かわいい」は女の言うそれよりも頻度が低くて生々しいが、男が言うよりはフィクションチックです。私の無性別的な内面を知る人からしたら、ますます意図が分からない。

しかも「かわいい」と言う対象が、成人した男とか凶悪なモンスターなので、もはや何が何だか理解しがたい。挙げ句、愛らしい小動物への感想は「マ〜↑」とか「太ってないか?」とか「強い」などと歪んでおり、とかく真っ直ぐな表現というのをしたくないらしい。

じゃあ私の言う「かわいい」は何なのかというと、軽めにビジュアルや仕草を指すこともありますが、本気で言ってる場合は、その対象の「陰」を見て言ってます。

陰は陽の反対、つまり、ふと見えた悲しそうな目とか、一人で手洗いに入っていく背中とか、何かについて悩んでいるさま、その中で見せる「これを言うのはやめとこう」という作り笑いのような表情……そういう場面を見て「あ、この人には、なんとなく可愛さ(と形容される、憂鬱な美)が漂っている」と感じるのです。言ってしまえば、私にはそういうフェチがあるのだと思います。

私の言う「かわいい」は、「見た目がカワイイ!」と「この人は可愛い所あるなぁ…」の二つがあるのです。

そして、そのような哀愁とか物悲しさを感じさせる者といえば、爽やかでない若い男です。彼らの陰の面積は、人の一生の中で最も広いと思えてなりません。

その中でも特に陰だらけなのが、髪が長く、人相が悪く、他人と楽しく過ごす事ができず、頭脳明晰なわけでもない、肉体にも恵まれず、厭世を極めて悪の道に迷い込んでいる…そんな男性キャラクター、ということです。不健全なのですが、負の感情にはついつい色気を感じてしまいます。

ついでに書いとくと、彼がこのような陰惨さから一時的に逃れている睡眠中、すなわち寝顔というものには、凄まじい「束の間の幸福感」=無力感 が漂っていて、ここまで退廃的で美しい状況があるものか、と唸るほどです。

女を本気で可愛いと思うことは、殆どないのです。女たちからは精神的な強さ(おそらく、母性のたくましさ)が感じられて、「見た目がカワイイ」ということが理解はできても、内面から「この人は可愛いなぁ…」とはあまり思わないのです。

苦しみ悲しんでいる男、彼の目に宿る陰惨の深さには限りがない。それを覗き込もうとすると、視線は暗闇の奥へと無抵抗に吸い込まれ、それが延々と終わらないものだから、底が無いように思えてしまう。しかし女のそれを辿ると、なんだか埃がきらきらと引っかかるようで、落ち葉か何かが敷き詰められた、ふかふかの底があるように感じられるのです。

……妙な表現に挑戦しましたが、ようは男の方がウジウジと無限に悩んでいるような印象だ、ということです。

改めて思い返せば、男には「可愛い」、女には「かっこいい」と思う回数が多いです。

ちなみに私は男女両方に惹かれるのですが、男でも女でもない人には、同性だという意識が起こるのか、可愛いを含めた色欲的な感情がさっぱり湧きません。面白い現象です。