「電話がヘタ」を利用する

今年の4月から新入社員として働いていますが、電話も業務の一つです。

電話がヘタクソ

私は電話がヘタクソです。大卒ストレートで入社した同い年と比べたら2年遅れ、電話偏差値は30ぐらいだと思います。

2年遅れがなくてもヘタクソに違いない。まず、どもる。次に、敬語を間違える。そして、聞きながらメモができない。そもそも、電話機の使い方をよく知らない!同じ部署のこれまた電話が下手な同期と「困った困った」言いながら、なんとかかんとかしてきています。

で、あんまり電話がヘタクソなのでネット検索してみると、「電話の克服方法」と称して、ああだこうだと書いてあります。その中でも最も根本的な対処法は「慣れる」とのこと。確かに入社5ヶ月して、まだ吃りも変な言葉遣いもメモ抜けもやらかすのですが、慣れてはきました。最初に比べたら、緊張も減ったと思います。

ですが、「電話が苦手だなあ、なんとかならないかなあ」と思ってこの記事に漂流してきた人々に、私は「電話に慣れろ」とは言いません。慣れるのには、原理的に時間がかかりますから、「今、困っていて」調べてきた人に提示しても仕方ない。しかも、自分で「こりゃ、慣れるしかないね」と思うのはいいですが、他人からの「慣れろ」はかなり暴力的ですね。ただでさえ電話で疲弊しているところに「慣れろ」なんて追い討ちをかけてはいかんな。

むしろ「電話が下手な自分」をしっかりと自覚して、「これが私のキャラなんじゃい」と図太く居座る! ついでにそれを逆利用して、周りに「努力はしとるな」と思ってもらいましょう。

宣言してしまう

まずは、いや〜電話苦手なんですよー。と、業務中でも飲み会でも帰り道でも、どこでもいいから宣言してしまう。4月に言えたらスムーズでいいですが、タイミングを逃して5月6月になっても「実際に電話をこなしてみると意外と難しかった」という感じになるので大丈夫です。そうして苦手アピールをすれば、期待を下げることができます。

「期待を下げることができる」というと、悪いことのような気がしますが、「期待されてドンドン伸びる」のは、得意なことでやりましょう。

「先輩、なんかコツ教えてもらえませんか?」まで言えたら完璧ですね。短所も使いようです。

マニュアル&ツールがないのが悪い!

人間は、自分の力ではできないことを道具を作って解決してきました。そうです。個々の電話能力には差があるのが当然なんだから、下手な人用のツールがあってしかるべき。もし職場にまだない場合はチャンスです。自分用にどんどんマニュアルやツールを作って、社内で共有しましょう。上司からも「下手なりに努力はしてるな」と思ってもらえます。しかもそのツールを来年の後輩にあげでもすれば、「頼りになる優しい先輩」になってしまいます。

短所はテコのように使えます。だいたい社会によって直していく方向を向かせられるのですが、性質そのものを矯正するのは無理です。後述しますが、自分の性質ではなく使う道具を変えましょう。

同僚に相談は微妙

先輩や上司に「教えてください」はいいですが、同僚と「電話苦手なんだよねー」「わかるー」は微妙です。悪くはないですが、良くもないです。「なかよしごっこ」ができるだけで、特に実りはありません。「わかるー」の後に「どうしようか?」と考えていける人同士でお互いに話し合うなら良いのですが、入社数ヶ月ではなかなかそこまで突っ込んだ話にはなりません。

あきらめる!

ある意味で、諦めましょう。ある意味というのは、自分の適性をいじるのは不可能だけど、ツールや仕組みを作ることで行動自体を改善するのは可能、ということです。私の使っている電話機には、付箋がペタペタ貼ってあります。「迷ったら“(社名)でございます”」「○○の話はAさんに代わる!」「誰から掛かってきたか確認(してから取る)!」…その上、「○月✕日△曜 X時頃 ○○社の✕✕様から△△さんに電話 要件欄…」といったメモを勝手に作って印刷し、電話横に置いてあります。「よく電話くる人リスト」もあります。ここまでやっても失敗するし、電話がかかってきたら緊張を解すためなのか「ワーッ!○○からだー!」と口に出てしまいます。

認知特性の違いを理解する

ところで、人の認知特性の偏りについてたまたま気になったので「医師の作った頭のよさテスト 認知特性から見た6つのパターン」という本で自己診断をしてみました。

その結果、視覚と言語は良かったのですが、聴覚がかなり厳しい感じでした。つまり私は、目で見たり言葉を読んで覚えたり理解するのは出来るけど、耳を通してやるのはかなり弱いらしい。だから電話も不得意なんだろうと気付きました。

他にどれぐらい弊害が出ているか書いておくと、口頭指示は急いで文か絵にしないとすぐ忘れてしまいますし、友達と話している時も、悪気はないのですが、時々集中が切れた時に耳から入った情報が抜けてしまいます。ちなみに視覚については恐らくデザイン業務で特性を発揮していそうですし、言語の方はコピーライトや校正で生かされている気がします。で、この認知特性自体は先天性のもので変えられないので、それは諦める他ない。できるのは、いかに聴覚ではなく視覚や言語に処理を持っていくかという工夫なんですね。

「電話ができないとダメ」扱いなのは、世の中が「電話ができないとダメ」という価値観だからです。宇宙の真理や自然法則とはいっさい関係ありません。猿の進化系専用の、単なる謎ルールです。謎ルールなんですが、いちおう我々も猿の進化系なので、なんかそういうルールに巻き込まれてしまってます。仕方ないね。