【実践版】考えすぎない練習

「考えすぎ」な君へ送る いにしえからの処方箋

なんじゃこのタイトル画は って感じですが、たまにはデザイナーの卵的なところを見せます。背景の海写真は、去年湘南に旅に行った時に撮りました。楽しかったな。

「つい考えすぎてしまう…」と困っている友人がリアルに数人いるので、考えすぎないように練習する方法を書こうと思います。まず、なぜ考えすぎてしまうのか説明し、次に思考を減らすための具体的な練習法を書いていきます。この記事を読み進めながら、実際に練習に取り組める構成にしますので、よかったら試してみてください。数分でできます。

最終的には「思考を完全に止められる」のが理想なんですが、それだと「なんだか人間じゃなくなってしまうみたい」と感じるかな?と思うので、ハードルを下げるため「考え”すぎ”ない」としました。

自分勝手な脳

なぜ「つい考えすぎてしまう」のか、その理由を書いていきます。

脳というのは、いつも刺激を求めています。楽しい旅行やドキドキの恋愛だけではなく、日常生活のあらゆるところで「脳の電流がビリビリきて刺激的!」を求めて、勝手に思考を開始します。ビリビリの刺激は、強ければ強いほど(脳としては)気持ちよくて、そのベクトルは喜びでも悲しみでも怒りでもかまわない。

ですから、何かが起こると脳はその出来事を解釈したり、意味付けしたり、脳内で反論したりして、よりドラマチックで刺激的な出来事に改造します。これは、おそらく殆どの人に元々備わっている自動機能です。

例えば、新しい仕事が入ってきたとき「ああ大変だ!忙しくなるぞ!!」という状態になるのは、間違いなく「嫌な気分」なのですが、脳としては「焦った刺激がビリビリきて、強烈な生きた心地がする!」なのです。

寝る前に「死ぬのは怖いなあ」と考え始めて、「怖い怖い!!死んだらどうなるんだろう?!知覚が消える?魂は続くのか?!」となるのも、やっぱり「嫌な気分」なのですが、脳に言わせれば「強烈な恐怖で、生を実感している!!」という感じなのです。

脳が無駄にフル回転

          ↑脳のせいで疲れているのだ。

脳は勝手に大騒ぎを起こしますが、現実は、こうです。

  • 新しい仕事が来たら、できるだけ一生懸命やるけど、無理そうだったら事情を説明する。
  • 死ぬのは怖いが、避けられないし、死んだらどうなるか誰もわからない。

ただ、これだけです。「大変だー!!」と思うことはありません。

仕事をこなさないと怒られる?どうしても怒られるなら、そのまま怒られておくほかありません。死んだら困る?そりゃそうです、みんな同じです。避けられません。

出来ない事、どうしようもないことは受け入れるより仕方がない。どれだけ妄想しても現実は変わらないし、心を荒らすと良いことが起こるなんて因果関係はない。それなのに、わざわざ「大変だ大変だ」と、頭の中だけで「私はなんてドラマチックな状況にいるんだろう!!」と酔っ払っている。なぜそんなことをしてしまうのか?

それは、脳が「ビリビリ生きた心地」を求めているからです。あなたは、あなた自身の脳にこき使われて、「分かっちゃいるけど」クタクタに疲れているのです。脳は自分勝手なもので、思考によってあなた自身を無駄に苦しめ疲れさせているのだと、まずは知ってください。

「考えている」と気付くための練習が必要

脳は身勝手で、好き勝手にビリビリ刺激を求めて妄想すると分かりました。放っておくと勝手に思考が始まります。この自動思考を止めれば、無駄な苦しみも止まります。

自動思考を止めるためには、「あ、私は今、思考をしているな」と気付き、「じゃあ止めよう」と思って、実際に止めることが大事です。

とはいっても、ちゃんと自動思考に気付いて、更にそれを止めるのは、最初は結構難しい。なんといっても、脳自身がしたくてしている思考ですから、止めるのは抵抗感があるのです。

ということで、いきなり目に見えない思考に取り掛かるのではなく、まずは「私の身体は、今何をしているか?」に気付いていくことから始めましょう。


実践編

さて、ここからは実践編です。

いつもと少し違う深呼吸をします。といっても、ポイントは一つです。

呼吸をすることに集中してください。

あぐらをかいて背筋を伸ばすと良いです。あぐらが無理なら、イスに座ってでもいいです。電車の中で立ちながらは、最初は難しいので、落ち着いたところで改めてお願いします。

では、ゆっくり深呼吸をしましょう。息を吸ってますか?確認してください。

「あ、今自分は、息を吸っているんだなー」と。

一旦、息を止めて、吐き出しましょう。息を吐いてますか?

「あ、今は、息を吐いているんだなー」と気付いてください。

すってる・はいてる

      ↑しっかり集中すると、思考を休止できるのだ。

「息を吸っている、吸っている、吸っている……」

「息を止めている、止めている、止めている……」

「息を吐いている、吐いている、吐いている……」

ゆっくり、実況中継みたいにしてください。今この瞬間、自分の身体が何をしているのか、しっかり確認してください。さっさとやったら意味がなくなるので、落ち着いてしましょう。

途中で妄想や思考が出てきます。そしたら、「あっ、思考が出てきた」とだけ思って、放っておいてください。その思考を捕まえずに、呼吸に集中を戻してください。

そのまま、目をつぶって10回、続けてみましょう。

しっかり10回できましたか?お疲れ様でした。真剣にやったなら、多分、頭がちょっとジワーッとして、思考がクリアに近づいて、少しスッキリしたんじゃないかと思います。

さて、今してもらったのは、実は瞑想です。目をつぶって、背筋を伸ばし、呼吸に集中する。雑念に気付いて、流していく。これは瞑想の一種です。今の瞑想を、寝る前に10分からでいいので、毎日続けてみてください。余裕があるなら、一時間でも一日3回でもしてください。毎日少しずつ頭がスッキリしていくと思います。

ちゃんと真面目にやったら、適性で差があるとは思いますが、およそ二週間〜一ヶ月で、「頭がシーンとなる瞬間」が来るかと思います。

なんの思考もない、穏やかで平和な感覚が、ただスーーと流れているだけの、良い状態が来ます。その体験には、かなりの安心感があります。それを経験したら、今とはすっかり違う、思考の渦に飲み込まれることのない、落ち着いた頭と心になっていますよ。

寝る前以外も練習したい人へ

勤勉なあなたには、立ってる時もいつでもできる練習法を教えます。

さっきは座って呼吸に集中しましたが、今度は歩いてる時に、歩きに集中してみましょう。「右足上げます、右足降ろします、左足上げます、左足降ろします…」と、歩きを脳内実況します。実際に歩くスピードでやると「右足、左足、右足…」となると思いますが、それで大丈夫です。

歩きじゃなくてもできます。例えば、体のどこかが痒くなった。そしたら、「痒みがあります、手を上げます、痒いところに移動します、肌に指が触ります、動かします、手を離します、腕を降ろします」と脳内実況してみましょう。ゆっくりやると効果大です。

ポイントは、「今、自分は何をしているのか?」ちゃんと気付くことです。

自分の動きを実況するのに慣れてきて、瞑想もしていたら、そのうち「今、自分が思考をしていること」にも気づけるようになってきます。

そこまで来たら、しめたものです。その頃には、もう脳が問題なのが分かっていますし、瞑想で「思考を捕まえなくても大丈夫なんだ」と知っていますから、思考を止めることに抵抗が無くなっています。

気楽に生きるのは、いいことだ

まあ、気軽にやってみてください。「しない奴は、劣っている」とかいう話じゃないので、試しに「どれどれ、どんな感覚になるのかな?」と、とりあえず一回やってみれば良いんです。今すぐ無料で、なんの個人情報も渡さずに、一人で勝手にできるんだから。

私のような素人の記事でやるのは心配だというなら、以下のサイトを参考にするといいでしょう。

ヴィパッサナー瞑想

トップ画に「いにしえからの処方箋」とありますが、この「瞑想で思考を休ませよう」という実践法は、大昔のインドで生まれたのです。興味があったら、色々ググってみましょう。キーワードとしては「ヴィパッサナー瞑想」「サマタ瞑想」「悟りの階梯」「原始仏教」あたりでしょうか。

瞑想や自己観察をしていくことで、だんだん冷静になっていきます。落ち着いてきます。超能力やら金運やら宇宙の愛で引き寄せなどは別にないのですが、瞑想などで「自分勝手な脳」をリードに繋ぐことに成功すると、生きるのが気楽に思えてきます。

考えても仕方ない事をくよくよ考えなくなり、脳エネルギーの無駄が省けます。そうすれば、疲れが減ります。効率よく脳のリソースを割ければ余裕ができるし、何より周りの人は「あなたの疲れが少なくて良かった」と思います。それから、疲れると思考や行動が自動化されてしまうので、「疲れたので→休むぞ」という建設的な意識に持っていきにくくなります。休める内にどんどん休む練習しましょう。

そんなわけで、気楽に生きるのは、いいことです。

じゃ、今日は寝る前に瞑想しましょう。私もしますから。

読んでくれてありがとう