『黒潮』第0話「謎のCD」

最後に残った棚。こいつを片付ければ、何だかすっきりするかもしれない。

「いてっ」

足に落ちてきたのは、薄くて四角い透明なケース。中に、円盤がはめられている。

「なんだかなあ…」

拾ってみるが、何も書かれていない。まっしろだ。

裏返してよく見ると、中身は入っていることが分かった。

せっかくだから、あとで聞こう。やっと家の片付けが終わる記念だ。

窓の外はいつの間にか暗くなっていた。

買ってきた弁当をレンジに入れる。

そうそう、落ちてきたやつを聞くんだった。

CDプレイヤーを運んできて、準備完了。

それでは、いただきます。

食べかけの弁当はすっかり冷めていた。

プレイヤーから取り出された謎の円盤には、やはり汚れひとつなかった。

どこを見つめても、何の手掛かりも見つからない。

いったい誰だ?!この曲を書いたのは!

こうして、僕はこのCDの製作者を探しに行かねばならなくなった。

どうしても、会って話したい。

今すぐにでも飛び出したかったけど、外はひどい嵐。

それに、きっと準備が要る。

支度を済ませたら、今日は寝ておこう。