休む技術:役立たずの自分になる時間

最近、あまり記事を書かないように気持ちを仕向けていました。疲労や体調問題が重なって、無意識のうちに元気がなくなってたようです。それで、しばらくは低空飛行をしておこうという事です。

休むにあたって、自分の行動や精神状態を吟味してみました。そこで分かったのは、いくら趣味で楽しくても、思考や制作という行為は労働だということです。どんなに好きなことでも、動けば体力を消費するのです。

そんなわけで今回のテーマは「気持ちからしっかり“休む”こと」です。

休息は技術だ

私は「よし… 今から、ガチで“休む”ぞッ…!」と覚悟を決めないと、しっかり休むことができません。意識しないと、すぐ思考開始、作業開始になってしまいます。

程度の差はあると思います。これよりはマシだけど休みにくいという人や、私より更に休めない精神の人もいるでしょう。

前述した通り、いくら趣味で好きなことでも、それをしたら気分が爽快になるとしても、それは「遊び・息抜き」であって「休息」とは違う行為です。両方必要なのだと思います。その意味で、「休むこと」は技術だと思います。

特に意識せずともできる人もいると思います。意識しないとできない人は、まず「本当は休めていないこと」自体に気付いていない。技術だから、うまい・へた、があるという事です。

休む練習をする

「休むは技術だ」と気付いたということは、「意識して休んでみた」ということです。

そこで、なんだか生まれて初めて休んだような気がしたのです。それくらい違う感覚でした。今までの「休んでいたつもり」とは違う感覚でしたが、ちょっと練習・意識すれば習得できそうな気もしました。どんな心がけでいれば「心から休めるか」、そのポイントを書いていこうと思います。

役立たずになる

もちろん「休んでいる間だけ」でいいのですが、ひたすら「役立たず」になります。

酸素を二酸化炭素に変え、食物をウンチに変換し、石油を電気に消耗するだけのデクノボウ。

そんな、心底役に立たない自分をそのまま認める。なーんにも生産しない、いっそ有害な自分をしばらく許す。

この「ダメな自分を一定時間キープする」状態に持っていくのが、結構難しい。身体を休めてはいても、つい「よい人生とは…」などと考え始める。ぼんやりネットサーフィンしていても、なんとなく「この考え方は、自分にも活かせそう」などと勉強したがる。

ふと気付くと、つい「何か生産的なことをしていたい」と思ってしまう。「自分が地球にとって有害な役立たずになること」は、自我にとって耐えがたい。だから、脳が過労中毒になることで「とりあえず働いているから役に立っているんだ」と、ごまかしている。

インターネットが発達して、色々な人が様々なことに取り組んでるのが見えるので、まるで全人類が毎日せっせと働いてるように見える。資本主義かつ自由な空気で、稼ぐのは良い事だという価値観が流れている。本を読め、思考し続けろ、成長はいいことだ… こんな風潮で、脳は疑問を持つ間もなく働き続ける。

そんな状況下でも、ひたすらに、ただただ時間を浪費する。無駄な存在になる。そういう状態になることを自分に許して、というか最初は命じて、「あ、今自分、な〜んの役にも立ってない、ひたすら消費するだけの、有害な存在だなぁ!」と、だらしなく横たわる。まったく成長のない時間を、意識して自ら作る。

それを真正面から受け止めて、そこで初めて、「心から休む」ことができた、と感じました。

繰り返しになりますが、この気持ちの切り替えを、意識せずともできる人もいると思います。その一方で、これをするには練習が必要な人種もいるのです。

遊ぶ方がハードルは低い

「休む」と「遊ぶ」は、「仕事の合間にする」という意味では似たようなことですが、大きく違います。

「遊び」からは、しばしば何かが生まれます。落書きは人の心を楽しませるし、ゲームも記録が残る、お菓子を食べれば感想が残る。遊びで、すぐにお金にはならないとしても、ちょっとはモノになる。

「休む」からは、何も生まれません。正確には、「体力と気力の回復」が生まれますが、目に見えなければ情報としての価値もない、休みはただのお休みです。

だから、「生産的なのは良いことだ」と、資本主義の下で心底信じきっている私たちにとって、「遊ぶ」の方がまだ「休む」よりはハードルが低い。

休日に、「一日中寝てました!」というよりは、「趣味のサッカーして、ブログを書き……」などとやってる人の方が、サッカーがうまいしブログ記事も残ります。ひょっとするとサッカー講師やブロガーにレベルアップするかもしれない、そしたら人間としての価値が上がる気がする(実際は人類みな等しくイモムシと同価値だ)。己の有能さをSNSにどんどん「発信」し、「みなさんの役に立ちたい」。価値の提供がうんぬんかんぬん、って、このご時世、やたらと囁かれていますね。

うるせぇ!俺は寝る!!

ですが、私たちのような「休む練習が必要な人種」こそ、しっかりと休むべきなのであります。練習しないと休めないんだから、脳はとっくに過労状態です。放っておいたら、どんどん考えて、働き続けて、潰れます。潰れました。復活した後も、安心してはいられません。

だから、覚悟を決めて、いっしょうけんめい休む!

休みの日は、ひたすら寝る!罪悪感はかなぐり捨てる!

なーんにもせず、ボーッとする!

何を見ても、いっさい学ばない!

思考を停止する!これは瞑想を身に付けておくと、やりやすくなる!

「成長」や「役に立つ」は、今は敵だ!

今日は絶対、誰の役にも立たないし、全く成長しないぞ!!!

……これくらい思い切らないと、なかなか「しっかり休む」は、できません。休むのが下手なので、練習が必要なのです。いつもこんなダメ人間でいる必要はありませんが、できない人用の練習なので、これぐらい思い切っていいでしょう。

そんでは、みなさん、さっそく「しっかり」休んでください。よい人生を。