カラスは飯を食べている…ヒトはそれをゴミと呼ぶ

私は鳥が大好きです。通学路ではハトやスズメやカラスを見ますが、みんな本当に愛くるしくて、毎日ニンマリしてしまいますね。おかげさまで、家の文鳥は自動的に世界の覇者になりました。

鳥は鳥に生まれた時点で良い奴なので、「カラスは悪い奴」というイメージに異を唱えようと思います。諸行無常なので、一生懸命「カラスの地位を取り戻すぞ!」などとは思わないのですが、暇なので、人間より可愛いカラスたちを弁護することにします。

だって住みやすいんだもん

なぜカラスは人間の生活圏に住処を作って、ゴミを漁りながら暮らしているのでしょうか?

それは、人間のいる場所がカラスにとって住みやすいからです。ゴミと言う名の飯が手に入りやすく、巣を作る木もけっこうあるからです。住みにくかったら、とっくに別の所を選んでいます。同じように、ハトやスズメや蚊やGも、人間のいる場所が彼らに適していたから、たまたま残ったメンバーなんですね。自然の摂理が働いた結果です。つまり、何もオカシイことや困ることはない、はずです。

はずなのですが、人間はワガママですから、やれ害鳥の糞で汚れるとか、虫がキモイとか、好き勝手言います。

私も虫は大の苦手で、Gとかゲジなんかは見るとすくみ上がってしまいます。これは昔からです。でも「キモイ」とか「滅びろ」「有害だ」とは言いませんし、なるべく殺さないようにします。ものすごく苦手で、恐ろしくて仕方がないけれど、虫という生物の存在や造形は好きです。頭じゃ好きだし、生物として敵対したくないけど、身体がどうしても受け付けないという感じです。

カラスや虫たちは「飯は落ちてるし、暖かいし、過ごしやすいぜぇ」と思って、街中にいます。人間も、まあまあ暑すぎず寒すぎず、水や木があって、過ごしやすい場所を求めて生きてきたはずです。それは太古の時代に限った話ではなく、現在でも「東京の近くじゃないとイベントに行けないから」とか「子供たちのために空気の綺麗な田舎がいい」とかいって、自分の過ごしやすい土地を選びます。

これは人間もカラスも虫も同じなのです。カラスや虫が、「人間はキモイ」とか言って、攻撃してない相手を襲ったりしますか?しませんね。身は守るとしても、一方的にやっつけたりはしません。まあ彼らは体の大きさからして人間を倒すのは難しいですが、例えば熊やライオンが人間に復讐したり、人骨のネックレスを作るために人里に来たりはしませんよね。腹が減った時に飯を探しに来るのです。

みんなのごはん

カラスがゴミ袋をほじって散らかすと人間は怒りますが、カラスは飯を食べに来ているだけです。

ゴミ袋を破くのは、中に飯が入っているからです。「中に飯の入った袋」を道端に置いておいたら、そりゃ袋を破いて中身を食べるでしょう。人間が突然考えたルールを、カラスが守るわけがありません。自然界に「ゴミ捨て場は綺麗に使うように」というルールはありません。まず自然界に「ゴミ」はありません。カラスがルールを破っているのではなく、人間が勝手に人間用のルールを作ったのです。

道端で何故かおまんじゅう化している鳥は、まったく凄まじい。

渋滞でイラついている人間の頭上をスイスイ飛んでいく鳥は、じつに偉大だ。

どこを見ているか、何を考えているかさっぱり読み取れない表情は、どこまでも神秘的だ。

いやあ、鳥って生物は、ほんとうに素晴らしい存在ですね。