リアル「サリーアン課題」に遭遇

抜き打ちのサリーアンテストが発生した

「サリーアン課題」は有名な診断テストです。自閉症スペクトラム障害(以下ASD)かどうか判別するもので、百発百中とはいかないようですが、約8割のASDはこのテストに正答できないようです。サリーちゃんに感情移入してアンが隠したボールを探してね的な設定です。ググれば出ます。

さて、そんな「サリーアン課題」の「実技試験」のような状況が、サラッとやって来ました。  

この図は、その実技試験の時の私の視点だと思ってください。 私の視界の中で右にいる太郎さんに、視界左側にあるAを取ってほしい、というシーンです。

太郎さんはAがどこにあるか知りません。右とか上とか場所を言って、Aがどういう物かも口で説明する必要があります。 サリーアン課題と状況は違いますが、「相手の気持ちになって行動を予測できるか」という肝は同じです。

こんなシーンが起こって、私は咄嗟にこう指示したんですね。「左!」

その後、太郎さんが私の視点から見て「奥側」を探し始めたのを見て間違いに気付き、「後ろを向いて!」と訂正しました。「私の視点ではAは太郎の左にあるが、太郎の視点だとAは背後にある」と咄嗟に分かることは、できなかったんですね。相手が予想しない動きをしたので、数秒考えた後にようやく感情移入できたわけです。

ということで、私は実技版・サリーアン課題?を華麗にパス、とはいきませんでした。

ASD的傾向を自己診断は難しい

高校生くらいの時に、ネット上でサリーアン課題の自己診断をしてみたことがあります。その時は正答できました。座ってゆっくり考えればできるのでしょう。 ですが同時期に、これまたネット上で行ったASD自己診断では、思いっきり引っかかりました。64点くらいが出た記憶があります。

ASDの内面的特徴とアダルトチルドレン(以下AC)の特徴はかなり類似しているので、ACの要素が強かったとか、両方の要素が少しづつあるということも考えられますし、自己診断で極端な結果になっただけかもしれません。まともな自己診断はできないということですね。

現実は即興なので、テストで診断することはできない

用意されていたペーパー版のサリーアン課題と、偶然発生した実技版のサリーアン課題には、何か大きな差があるのでしょうか。 この実技版サリーアン課題は、日常で突然発生しないと正確な結果を得ることができません。だから実際にやらせて統計を取るのは難しいのですが、私のように「冷静に考えればできるが、咄嗟にはできない人」は実はけっこういるんじゃないか?と勘繰ります。

だからどうこうという結論はないのですが、本人はできると思っていても、または意識していない事でも、実は人並みにできない、ということもあるのだろうと感じました。現実は即興で、ペーパーテストとは違いますからね。

医療的・社会的に理由があって、グラデーション状である自閉傾向とか色々な病気に診断名をつけますが、マジョリティがマジョリティである理由は「数が多い」これだけです。 すべての評価は相対的である、そして人間は根本的に無知であると知って、いばらずに過ごしていきたいですね。