いわゆるニチアサキッズタイムの
動物戦隊ジュウオウジャー
を、第一話からリアルタイムで完走できたので、感想を書き残します。
ストーリーに関わるネタバレはしないように書きますよ。
いいところ
・大人になって見ると理解/共感できる、成長と友情のストーリー
・人生の教訓が山盛りで、道徳の授業で流せという感じ
・中終盤にかけて、物語の謎や伏線がどんどん回収されていく満足感
そうでもないところ
・変身後のスーツやメカがあまりかっこよくない
・映像がチープに感じることが多い
(・個人的にはイマイチではないが、戦隊内にネガティブな性格のメンバーが多いので見る人によってはウザく感じそう)
見始めたきっかけ
ツイッターで、戦隊モノの次回作としてジュウオウジャーの情報が流れてきた。それまで特撮には特に興味が無かったが、どうやら戦隊40周年記念作らしく、しかも好きな動物がモチーフということで気になり、試しに見てみることに。
第一話から「続きが気になる」終わり方を連発してくる上、話数が進むごとに少しずつ登場キャラクターや世界観の説明がなされていき、最後まで飽きることなく楽しめた。
悪役同士の奇妙な関係
悪役である怪人クリーチャーたちは地球を破壊しようと企んでいるワケだが、ただ一緒に壊そうとしているだけではなく、その悪役同士にはちょっとシリアスな関係がある。この「怖い大人のやり取り」「ベクトルが違う戦い」が、大人になった今見るととても面白い。怪人に人間味が感じ取れる。
特に終盤の心理描写が秀逸だと思う。怪人だから表情は変わらないのに、声優の演技とポーズ、カメラ回しで緊迫感がありありと伝わるのだから凄い。
完璧じゃないから面白い
今作に込められたテーマの一つに「自分の壁を壊す」があると思う。
例えば、友達を作るのが苦手な性格のキャラが何人か登場する。彼らの心のバリアは相当頑丈だが、仲間たちと過ごすうちに少しずつ心を開いていく。それぞれの登場キャラが、強みだけでなく弱みを持っており、それをお互いに補い合って成長していくのだ。
一見かなりの人徳者に見えるリーダー=レッド役のキャラも、話数が進むと「完璧」ではないことが分かる。「お互いの違いや欠点を(何だかんだ文句言いながら)認め、補い合って力を発揮していく」という価値観は、オープニング歌詞の「♪強さと優しさ持つ心が王者の資格だ」にも表れていると思う。とても優しい作品だ。
秀逸な言葉遊び
「ジュウオウキューブ」「王者の資格」という四角いアイテムが登場する。これらには言葉遊びが含まれていて、
四角=縦横=ジュウオウ=獣王
四角=資格
である。幼児には、「王者の四角」と聞こえてる可能性がある。こういう言葉遊びが、この作品には他にもあるかもしれない。他の戦隊作品にも沢山あると思う。
まとめ
「戦隊もの」は明らかに「お子様向け」というイメージがあると思う。確かに、間違いではない。しかし、大人になった今見返すと、小学校や幼稚園で学ぶべき「人生で大切なこと」がたくさん詰め込まれていることが良くわかる。小さい頃見た戦隊は「すごいお兄さんたち」だったのが、今見れば彼らは「頑張る若者」であり、「この役は何を伝えようとしているんだろう?」という見方もできる。
大人になってしまい、社会に揉まれてしまった今でこそ、戦隊ものを見て心を洗うべきだと思う。幼児向けだから毒が少ないという話だが、全部がハッピーなお話というわけではない。ちゃんと、「立ち向かうべき自分の弱さ」や「過去のつらい記憶」みたいな闇の面も出てくる。ただそれは悪口とかではないので、普段のバラエティで疲弊してしまうような人には、よい癒しで学びになると思う。
単純で肝心な事を最後に書くと、変身シーンがかっこいい(スーツはイマイチだけど動きはなかなかクール)。特に物語の終わりの方で全員が並んで変身するシーンは感慨深く、最高に嬉しくなる。
おわりに
素晴らしい作品だった……。軽い気持ちで見始めた第1話から最後まで毎週欠かさず見て、こんな記事を書くまでに好きになるとは思わなんだ。
ネガティブ・真面目系が多いメンバー達が仲間と共に成長し、お互いを補い合って強くなる、己の壁を破っていく様にはとても共感した。
主人公であるジュウオウジャーのメンバーも好きだが、悪役であるデスガリアンの方々もそれと同じ以上に好きだ。皆カリスマ感が漂っていて余裕を感じてセクシーだ。それぞれに違う得意分野や能力が備わっているのもワクワクする。そして彼らには、それぞれの過去や事情がある。もちろん最終的には倒されてしまうし、倒されなければならないのだが、単純な「悪い奴ら」では済まされない、切ない魅力があると思う。
あんまり纏まりませんが、こんな感じで。
ジュウオウジャー最高だった!今度Gロッソにラストショー見に行きます!!