ジェンダークリニック&学校の相談室に行きました

クリニック再診。

…だったのだが、結論から言うと、一旦このクリニックに通うことは中止することにした。

理由は、色々合わなかったから。

第一に、医師やカウンセラーの印象(向こう側のやり方)が自分の性格と噛み合わなかった。

第二に…まず前提として、ジェンダークリニックという場所は「医師が患者を暮らしやすい状態にサポートする」ところであった。

そもそも自分の悩みは、「自分のどこをどう変えれば快適になる」というものではない。社会全体の男女二元的システムによるものだ、と考えている。極論を言うと、性別という概念がこの世界からすっかり無くなれば、自分は多分快適に暮らせる。しかしそれはムリな話だ。

自分が「今ここがこうで辛いから、あのように変えたい、だからこうしてくれ」と具体的に指定しなければ、クリニック側は動きようがない。自分の悩みは具体的対策を持たないので、クリニックに行ってもどうしようもなかったのだ。

ただ、代わりではないが、別の相談場所を見つけることができた。通っている専門学校の相談室である。

担任の先生に性別のことを話したら、とても親身に優しく話を聴いてくれて、学校側としてもそこはサポートしていくと言ってもらえた。それでもとても救われたのだが、プラスアルファとして心理相談室に行ってみることも勧められたのだ。

そこでの話が、またとてもためになった。クリニックで話すより、こっちで話す方が実になるし、気分が落ち着く。そう思った。

その相談室でしてもらった話の中で、腑に落ちたものが二つあったので、ここに書いておこうと思う。

ひとつめ。自分は、「自分」という存在そのものに違和感を持っているわけではない。自分のこの状態は(自分の中では)特に問題ない、確固たる自我なのだが、たまたま今の社会システムにはうまく嵌らないのだ。

どういうことかと言うと、自分について混乱し困っているのは、自分ではなく社会の側なのだ。

その相談室のカウンセラーの先生が、自分の性別の印象について教えてくれた。いわく、電話口(声、話し方)だとどちらかわからない。姿を見ると女性と分かる。しかし話している様子は男性…だそうだ。

そこは調子や見る人によるブレもあるだろう。ただ実際、自分と会って話した人が少しその辺の対応で困っているように見えたり、電車の中で不思議そうに見られることもある。そう改めて考えると、社会と自分は、お互いに「困って」いるように見える。

ふたつめ。自分の心は、男性の身体を欲しがっている。同時に身体のほうは、女性の心を欲しがっている。という説。

自分は昔から「心と体は別のもの」という感覚で暮らしているので、先生の言ったこの説はスッと馴染んだ。なるほど。自分の身体は運動神経が最悪だし、女だし、すぐぶつけるし、いつも心の足を引っ張る、出来損ないの身体だ!と思っていたのだが、実は身体ちゃんのほうは心くんに対して「なんでなの!!」とか思っていたのかもしれない。

互いに運が悪かった。お互い様。そう思うと、ふと自分が内股になってたり、高い声が出ちゃったりした時も「お前(身体ちゃん)はそうなんだもんなぁ」と許せる気がした。この身体を治療によって男のように変えるのはかわいそうという気もしたのだ。

ジェンダークリニックに通い始めたキッカケは就活への不安であり、「具体的な方向を早く決めなければ、うまく就活ができなくなる」という焦りだった。

具体的な方向が決まらない。すなわち、「治療をして男性として生きるか、それともこの体のまま女性として生きるか?」…という自問が解けない。理想の終着点が[男・女]ではない自分にとっては、解けるはずのない自問だった。

…自分は「男か、女か、どちらかしかない。どちらかにならないとダメなんだ」と考えていたのだ。そんなふうに考えたいとは全く思わない。しかし、いつの間に、何故か、こんな思考に陥ってしまっていた。

理由としては…戸籍は男女のどちらかしかないから、結局片方にしかなれない。どちらか片方と見なされないといけない。そういう社会のシステムだから、どちらかにならないと馬鹿にされる。生きていくには仕方ない…というところだ。

今回相談室(とクリニック)に行ったことで、またひとつ着想を得ることができた。心と身体の性別が違う時、必ず心の方に合わせて身体を変えなければいけないというワケではないのだ。心と身体の二重人格…と言うとカッコよすぎるけど、自分の要素の両方を認めていけたらいいのかな。と思った。(やっぱり確信はないけど…)

ということで、この「ジェンダークリニックに行きました」シリーズ(?)は、一旦中止です。またあそこに行く可能性は…15%ぐらいかなぁ。学校の相談室にはまた行くと思いますが、記事にするかは未定です。

ではでは、ここまで長々と読んでくれて、ありがとうございました。