「無能おじさん」へのエレジー

現在仕事を受けている企業や、かつて勤めていた会社に、「無能おじさん」がいる。

ここでいう「無能おじさん」とは以下のような人物だ。

  • 仕事を進めるのが速くない
  • といって特に丁寧なわけでもない
  • コミュニケーションや人心掌握に長けているわけでもない
  • 真面目っぽい格好をしているが、そこまで真面目キャラではない
  • 文章を書くのが苦手で、連携ミスをしたり混乱を招く
  • よく分かっていなくても「わかりました」と言ってしまう
  • しかし同じようなことで何度もミスする
  • なので上司に詰められている
  • 自分の頭がそこまで良くないことを自覚している
  • しかし「バカだから適当に生きよう」とは割り切れない
  • ゴマスリやピエロで生き残ろうという感じでもない
  • 怒られた直後は自分の不甲斐なさへの怒りなのかイライラしたり拗ねたりしている
  • やや短気だが、数時間経てば何事もなかったかのように普通の態度になる
  • 上司がいない環境だと安心して、冗談を言ったり部下とサボったりする

私個人としては、このような「無能おじさん」は好きでも嫌いでもない。もし彼らが部下だったら、どう教育すべきかで悩むだろうが、今のところ私が32歳で個人事業主なので「無能おじさん」を教育する立場にはならず、結果として彼らで悩むことはない。仮に部下や上司だとしても、いわゆる「ブリリアントジャーク」や「パワハラ・モラハラ野郎」に比べれば、彼らは大して問題ではない。

「無能おじさん」は、自分の頭があまり良くないのを自覚しているので、驕り高ぶったりはしない。人を見下したり利用しようともしない。人格者や切れ者ではないが、嫌な奴・悪人でもないのだ。

しかしエリートや起業家に対する憧れが無いわけではないようで、時々そういった「意識高い系コミュニティ」に混入して、エリート気取りのボンボンにバカにされたり変な商材を買わされたりしている。

彼らの素朴な姿と、うまくいかなさ、そしてそれを誰にもどうしようもできない現実を見ていると「頑張って生きてくれよ」という気分になる。しかし彼らは数時間でケロッとしているので、自分の人生についてもあまり思い詰めないのだろう。私は私自身の心配をするべきなのだ。