仕事に対して熱意を持って取り組みパフォーマンスを出すためには、3つの要素と、それを支える1つの土台が必要だ。
この仮説について説明する。
前向きに働くための3要素
1.仕事内容
行う作業の種類。職種名ではなく行動名で捉える。
例えば「営業」なら以下のようになる。
- 取引先とビジネスの話をする
- データをまとめる、書類を作成する
- 車を運転する、一人で社外を回る
「デザイナー」なら以下のような感じだ。
- デザインを作成する
- デザイン作成に必要な情報をまとめて、顧客とコミュニケーションする
- 作ったデザインの意図を上司に説明する
これらの行動が楽しいかどうか、他者より速く正確にできるか(適性)、精神的負荷の高さなどを見る。
いわゆるテクニカルスキル・ポータブルスキルと密接に紐づいている。仕事内容自体が好きで得意ならば、同職種での転職に抵抗感がなくなるので、キャリア的にお得である。
2.職場環境
一緒に働く人々と気が合うかどうかや、出社するオフィスの環境、残業時間、通勤経路の過酷さなど。
これらは入社するまで不透明なガチャなので、この要素が恵まれている場合はラッキーだ。独立して個人事務所を構えるのでもない限り、自分の力だけでは如何ともしがたい。
3.理念・ビジネスモデル
属する会社のビジネスに対する印象。
極端な例を挙げると、貧困にあえぐ子供を支援するNPOは「善いことをしている喜び」を得られるが、犯罪スレスレの手法で高額商品を売り付ける会社では罪悪感に苛まれるなどの精神的やりがいだ。
たとえ法律に引っかかっていなくても、搾取的な構造や囲い込み、データ提供といった、一見正常の範囲に見えるがフェアとは言えないビジネスモデルに拒否反応を示す人も稀にいる。
これは気にする人・気にしない人の差がかなり激しく、気にする人は職場選びの条件として給与よりも重く見るのに対して、気にしない人は本当に心の底から気にならないようだ。
1つの土台
これら3つの要素を支える土台が「給与」である。どんなに得意でやりがいがあり、素晴らしい同僚に恵まれても、生活ができなければ成り立ちようがない。
給与は低すぎると当然ダメだが、仕事内容に対して高すぎても罪悪感を生むことがある。いわゆる「ブルシット・ジョブ」だ。無くても誰も困らない無駄な仕事なのに、高給取りというケースがこれにあたる。
点数を振り分けて考える
さて、3つの要素と1つの土台を説明した。
この枠組みを実用的にするため、簡単な計算を行う。まず、3つの要素に対して以下のように点数をつける。
- 2点:良いと思う、好き
- 1点:ふつう、特に何も思わない
- 0点:嫌だと思う、嫌い
3つの要素に点数をつけたら、すべて足し算する。その合計点が
- 「3点」以上→それなりの熱量で頑張ることができる。
- 「2点」以上→なんとかその仕事や職場に耐えることができる。
- 「1点」以下→転職やメンタル悪化は時間の問題である。
転職や独立する際には、これらの合計点が3以上になるような仕事を探すのも良いだろう。かなり簡易な捉え方ではあるが、一つのフレームワークとして考えついたので書き残しておく。
ちなみに私の場合は
- 最初に入った事業会社…5点
- 転職したデザイン会社…3.5点
- 独立後…5点
最初に入った会社は全体的にかなり良くて退職したくなかったが、特定の一人と働くのがどうしても無理になり、退職せざるを得なくなってしまった。こういうパターンもあるので、現実はなかなか思い通りとはいかないのだ。