あゝ親愛なるアダンソンハエトリ

家の中にショウジョウバエが現れると、どこからともなくやってくる。その名はアダンソンハエトリ。体長1センチ弱の小さいクモだ。オスは黒色に白い模様、メスは茶色をしており、メスの方が若干大きい。

以前住んでいた家でも、今住んでいる家にも、彼らはやってくる。彼らが来てしばらくすると、いつのまにかハエがいなくなっている。ハエを取るからハエトリグモだが、それ以外の小さい虫も食べてくれる。

彼らは巣を貼らず、床や壁をてくてく歩く。獲物は高速ジャンプで捕える。移動中も時々ジャンプで飛び移り、高い所から降りるときは糸を垂らして降下していることもある。忍者のようでクールだが、ジャンプをする直前はバンザイポーズみたいになっていて微笑ましい。

昼行性で、ヒトを恐れるのでこちらに近寄ってくることは殆どない。ただヒトへの恐怖心には個体差がある。平均的な個体はそれなりにヒトを恐れて逃げ、基本的には陰になっているところや高い位置にいる。怖がりな個体は奥まったところを求めすぎて窓のサッシに入り込んでしまったり、かなり必死で走っている感がある。しかし全然気にせずヒトの近くに来たり、見つめられても構わず毛づくろいをする個体も稀にいる。

彼らを見つめると、「ン?」という感じで身体を傾け、こちらを見つめ返してくる。8ツ眼の者と同居するのは不思議な気分だが、これからも末長く宜しく。