定番質問「無人島に一つだけ持っていくなら」について真面目に考えたい。
前提条件
- 外部に救援を求めたり、島から脱出するのは禁止
- インターネットや電波は繋がるものとする
- 救援を求めなければよいので、スマホで電話や配信をしたり、検索や動画閲覧をするのは可
- 無人島には森や川があり、ある程度の動物がおり、極端な高緯度ではなく、最低限ヒトが一人で生きていける条件が揃っているものとする
- 服や靴は気候に適したものを既に着ているものとする
本当にナイフが最強なのか?
この質問を尋ねる調査では、たいてい第1位が「ナイフ」になっている。
まぁわかる。まぁわかるが、さすがにつまらない。だから、何とかしてナイフ以外を模範解答にするための手段を考えよう。
こういう条件の時は、石器時代の人類を思い浮かべれば良い。彼らはナイフなど文明の利器を持っていないので、どうやってその機能を使ったのかを考える。
すると答えは単純、自分で石器を作ればよい。
現代人がいきなり無人島に放り込まれて石器を作れるか?という疑問があるが、義務教育を受けていれば、川に行って石を割ることは思い付ける可能性がある。
ここで模範解答の一つ目が生まれる。サバイバル知識の本である。あるいは不器用な人ならスマホを持って行って初手で石器や釣り竿の作り方を調べ、電池が切れる前に土や葉を使ってメモったり、動画を見て作っていくのが、最適解の一つになるだろう。道具の作り方だけでなく、魚の捌き方や火の起こし方も検索できるので、かなり汎用性が高い。
動力について
スマホは最適解の一つだが、根本的な話として、無人島では充電ができない。ガソリンスタンドもない。発電パネルだけ持って行っても意味がない。つまり、動力が電気や石油など、人工的なエネルギー変換を必要とするものは弱いのだ。その致命的な弱点を持っているのに最適解になりうるスマホは本当にすごいとも言える。
さて、サバイバル本とスマホ以外の最適解は無いだろうか。エネルギー変換を必要としない動力ということは、おおむね産業革命よりも前にあった道具の使い勝手がよさそうだ。とはいえ、自分で作れるものを持って行っても有り難みは薄い。
つまり無人島生活において「ちょうど良い道具」は、自力で作るのは難しいが、動力がシンプルなものになるだろう。時代でいうと古代〜中世あたりに生まれた道具で、それが現代でブラッシュアップされていると有用そうだ。
そこで白羽の矢が立つのは「車輪を持つもの」だ。車輪があれば、移動が早くなったり運搬が楽になったりする。また、無人島の動力で最も持続可能かつ実装が簡単なのは「人間」である。自分の筋肉が動くことでエネルギーを発生させるのが一番効率が良い。
これを鑑みると、ママチャリはかなり強いと思われる。移動が早く楽になるのは食料獲得で重要だし、カゴがついているから沢山運搬できる。小さめの動物なら轢き殺せるし、盾にもなる。うまくやれば車輪とツルなどを組み合わせて新しい道具も作れそうである。
マウンテンバイクではなく、カゴがあるママチャリでないといけないのも芸術点が高い。充電が切れたら終わりのスマホと違って、雑に使っても数ヶ月〜数年は持つから、チャリを使いながら少しずつ開拓を進めれば良い。タイヤのパンクや錆が怖いのと、山がちな島では使いにくいのが欠点だが、2つめの最適解と言っても差し支えないだろう。
ヒトの相棒
動力が生物で使途が広いという意味で、犬や馬は3つめの最適解と言っていいだろう。彼らは人間文明の発展をともに支え続けてきた盟友である。
ママチャリと比較すると、カゴと車輪がない代わりに自律的に動くことができる。餌を食わせる必要はあるが、それなりに繁茂した無人島だったら放し飼いでなんとかなりそうだ。無人島の資源を有効活用し、エネルギーの最大量を拡張するという意味で、結構エレガントな回答だと思う。
無人島だから牧羊犬よりは狩猟犬のほうが役に立ちそうだ。馬は競技用のサラブレッドではなく、荷役に使える丈夫な種類がいいだろう。ただし犬アレルギーの人や運動神経が悪くて馬に乗れそうもない人には、取りにくい選択肢である。
役に立つ軸 vs. 心の支え軸
さて、ここまでの話は「一番役に立つもの」という目線で見てきたが、この質問はもう1つの目線から答えられることも多い。
それは「一番心が潤うもの」だ。
無人島生活をより楽しむための演出物として、好きなグッズを持っていったり、逆に不安な心を落ち着かせるために安心するものを持っていく、というパターンだ。
これは流石に個人によって好きなものや安心するものは違うので、「これが最強」と決めることはできないが、ひとつ例外がある。
役に立ち、心が潤い、しかも動力が人間という意味で、家族・友人(1名)が最強クラスなのである。ここに4つ目の最適解が誕生した。
夫婦で行けば子供が作れるので、長期的には最強だが、医療機関がないので出産リスクは現代と比べ物にならないほど高い。自分や配偶者やお腹の子が死んでしまうことを考えると、なかなか安易な選択肢にはならないだろう。
そして、仲違いしてしまったら気まずいという問題もある。喧嘩ぐらいなら別に良いと思いきや、医療資源がないので少しの傷から重大な感染症になるかもしれない。こうなると元も子もないから、「仲が良い人間ひとり」は最適解の一つではあるにしても、万能とは言い難い。これは犬や馬も同じ問題を抱えているだろう。
まとめ
いろいろ考えた結果、定番質問「無人島に一つだけ持っていくなら」に対する4つの最適解が思い浮かんだ。
- サバイバルの本 or スマホ
- ママチャリ
- 犬 or 馬
- 仲が良い人物
この4つ(6つ?)と「ナイフ」を比べてみてほしい。汎用性や使途の広さ、耐久性を検討していただきたい。どうみてもナイフは最強ではない!!これを完全に証明することができて、大変満足した。Q.E.D.
